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うつくしまふくしま未来支援センターの活動状況について

学長特別補佐(うつくしまふくしま未来支援センター担当)

経済経営学類 教授 山川充夫

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 2011年11月21日に総額12兆円を超える国の第3次補正予算が成立しました。2011年4月に国への概算要求として構想され、8月に学内として措置で発足した「うつくしまふくしま未来支援センター(未来支援センター)」に、本格的な施設・設備・人員などが配置されることが決まりました。センター施設としては、当面3月に向けて、第1体育館と人間発達文化学類の保健体育棟との間にユニットハウス棟が建設され、2階建てで8部屋ほどが確保されます。本格的には、2013年3月に向けて、5階建てのセンター棟が金谷川キャンパス北西端の丘に建設されることになります。

設備については、金額の張るものとしては、NaIサーベイメータ、ベクレルモニター、可搬型モニタリンポスト、固定式及び移動式の小型風力・太陽光発電システムなどが導入されます。未来支援センターの人員については、人件費削減が厳しい中であるにもかかわらず、専任の特任教員・特任研究員・事務職員等の人件費を獲得できました。これまではすべて学内教員の兼任で対応してきましたが、今後、本格的な業務対応に向けてセンター専任の教員を採用する手続をしております。

 未来支援センターの設立の目的は、「東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う被害に関し、生起している事実を科学的に調査・研究するとともに、その事実に基づき被災地の推移を見通し、復旧・復興を支援する」ことにあります。この目的を達成するために、未来支援センターは企画・コーディネート部門、復興計画支援部門、環境エネルギー部門、こども・若者支援部門の4つ部門を立ち上げました。以下、それぞれの支援部門の活動状況のポイントと活動補強としての人員配置の概要を紹介します。

まず企画・コーディネート部門には歴史資料担当とボランティア支援担当とをおいています。歴史資料担当は主として県内被災歴史資料のレスキュー・クリーニングから適切な保管、そして活用にかかわる仕事を行います。ボランティア支援担当では本センターのすべての支援活動に欠かすことのできないボランティア活動の調整、およびそのマネジメントを行います。ここでは新たに自治体調整コーディネータ(特任教授)や事業コーディネータ(特任研究員)、ボランティアコーディネータ(特任教員)を採用します。これによりセンターと大学内外部との間での調整機能を強化し、活動範囲を広げるとともに活動密度を高めることが期待されます。

復興計画支援部門には地域復興支援担当と産業復興支援担当とをおいています。この部門での活躍はめざましく、国・県・市町村や各種団体等から多くの支援要請や問い合わせが来ています。地域支援担当では避難先や仮設住宅における生活改善への継続的な取り組みが行われています。また双葉8町村災害復興実態調査を9月から10月にかけて実施し、その結果は単に8町村の帰還・復旧・復興計画の基礎資料として活用されているだけでなく、県・国の計画策定にも大きな影響を与えています。地域支援担当にはすでにコミュニティ再生の特任研究員を採用し配置しており、今後、地域復興プログラム統括(特任教員)を採用します。

産業復興支援担当は放射線対策担当とも共同し、福島県や各種団体等と連携を図りながら、二本松市東和地区や伊達市小国地区において、詳細な土壌汚染マップ作成を支援しています。「安全宣言」後、伊達市等の米から基準値を超える放射性セシウムが検出されたこともあり、その取り組みの先駆性が高く評価されています。国民・県民の関心が外部被ばくから内部被ばくへと移ってきており、食品の放射線量を気軽に「いつでも、どこでも、だれでも」測定できる環境の整備が必要となります。この産業復興支援担当にはすでに農業経営学の特任研究員を新規に配置しており、兼任教員とともに県内を調査支援活動で駆け回っています。今後、農業分野とともに他分野での要望を見据えて、交通経済と観光経済にかかわる専門家(特任教員)を採用します。

環境エネルギー部門には環境共生担当、放射線対策担当、地域エネルギー担当の3つを置いています。継続的な取り組みによって、空間放射線量や土壌・食品汚染線量の測定が外部から大きく注目されています。この測定にあたっては、これまで学内教員のボランティア・チームに全面的に依存していました。この負担を一定緩和するために、放射線工学、放射線防御学、放射線生物学にかかわる専門家(特任教員等)や放射線計測に従事する補佐員を配置することにしています。環境共生担当には地盤・土砂・津波災害の実態を調査・記録し、今後の災害対策に役立たせるために地震災害論の専門家を採用し、地域エネルギー担当には再生可能エネルギーの活用を視野におくスマートグリッドの専門家を今後、採用することにしています。

こども・若者支援部門には子ども支援担当と若者自立支援担当とを置いています。こども支援については、震災により避難を余儀なくされたこども達の心理的・社会的ダメージを調査・分析するだけでなく、学生ボランティア等の協力を得ながら、ダメージを克服するためのケア活動を積極的に行っています。この担当の活動を前進させるため、学校安全教育(特任教員)と児童福祉・臨床心理(特任研究員)に関する専門家を採用します。また若者自立支援担当では被災した若者の心理社会的な発達の状況と進路形成に関する実態調査をおこない、条件整備にかかわる提言や自立支援活動を行っていきます。そのためにキャリア形成に関する専門家(特任研究員)を採用します。

このほか、未来支援センターは地域と密接な連携を図るために2つのサテライトを設置する予定です。ひとつは相馬地区であり、もう一つはいわき地区が想定されています。このサテライトには特任研究員を新規に採用して配置します。サテライトは本センターの支援前線拠点です。すべてのセンター専任教員・研究員は、学類・センター等の教員の積極的な協力を得ながら、また学外関係者と連携して、まずは県内被災地の復旧復興の支援に全力をあげなければなりません。ただしその活動は浜通り地区には限定されません。中通り地区でも放射能汚染だけでなく地震の被害も大きなものがあるからです。避難者の受入負担や風評被害は会津地区を含め福島県内全域に及んでいます。また奥会津では台風や河川氾濫による大きな災害を被っており、そこからも支援の要請が来ています。

3.11東日本大震災からはや10カ月が経とうとしています。4月22日に設定された緊急時避難準備区域は9月30日には解除されたものの、警戒区域及び計画的避難区域の解除は行われていません。ただし第一原発の事故収束に向けた工程表ステップ2では、その根拠に対して批判のあるものの、冷温停止状態を「達成した」との判断のもと、国からは2012年4月1日向けて、警戒区域及び計画的避難区域の解除が打ち出されています。ただし区域指定は解除されるものの、年間50ミリシーベルト以上の地域は「帰還困難区域」に、年間20~50ミリシーベルトは「居住制限区域」に、年間20ミリシーベルト未満は「非安指示解除準備区域」に、年間被ばく線量を基準として設定し直されます。

第一原発事故による汚染廃棄物の中間貯蔵施設について、原発事故担当大臣は用地買い上げも視野に入れて双葉郡内に整備するとの発言をしています。この発言を受け、県民の多くは来るべきものが来たかという複雑な思いをしています。それはなお警戒区域を抱える南相馬市であっても、特定避難勧奨地点を抱える伊達市であっても、またこれらの市に比べて、空間放射線量が相対的に低い須賀川市や白河市であっても同じです。震災復興計画を議論すると、必ず除染問題に多くの時間が費やされます。どこの復興計画策定委員会であっても、放射性物質除染は復旧・復興計画の大前提であり、それなくしては復旧・復興計画の議論が進まないのです。それは子どもをもつ母親や家族が避難先から従前地に帰還する絶対的な条件となっているからです。いずれの市であっても、「子どもが安心して帰ることができる」復旧復興計画の策定が、スローガンとして求められています。未来支援センターはこうした要請にどう応えていけるのかが課題として突きつけられています。

未来支援センターの役割はそれだけにとどまりません。市民と議論をしていくと「安全」と「安心」との間に埋めきれない断絶があることを思い知らされます。その断絶の根底には信頼関係の崩壊を読み取ることができます。「想定外」「直ちには」「暫定」といった言葉にとまどいを感じつつ、出てくる科学的数値が次第に深刻化する行程のなかで、情報操作が行われているのではないかとの不信を積み上げ、何を信じてよいのかに迷いつつ、自己判断を求められ続けてきたのです。その判断の結果の一つがとにかく忌避する以外にないとの反射神経的な蜘蛛の子を散らすような避難行動であったと思われます。よりよい自己判断するためには「信頼できる」正確な情報と数値が必要であり、そのうえに基準値としての「安全」が担保されることで、はじめて「安心」が人々の間に広まっていくのです。

未来支援センターに求められる支援は、帰還、復旧、復興の諸段階が複雑化するともに、重層化することになります。そして求められる支援に対応するために、未来支援センターの活動は常に見直されなければなりません。未来支援センターには、被災者や被災地に寄り添いながら、一歩でもよい「解」を見つける努力が必要とされています。今後、私ども未来支援センターは、福島大学の教職員や学生、県内外さらには国内外の方々と共同・協同・協働して問題に取り組み、目的に向かって進みたいと思っています。