うつくしまふくしま未来支援センターのこれまでとこれから
菊地 芳朗(うつくしまふくしま未来支援センター長)
2020 年 4 月より、初澤敏生前センター長の後任として 5 代目のセンター長に就任いたしました。日ごろより、うつくしまふくしま未来支援センター(FURE)の活動にご支援・ご協力を賜っておりますことに厚くお礼申し上げます。
FURE は、2019 年 4 月より福島大学地域未来創造機構の傘下に再編され、担当事務局が地域連携課となり、現在に至っています。昨年度は、本センターの中核の一つを担ってきた農・環境部門のスタッフと機能が新設された食農学類に引き継がれるという大きな出来事がありました。また、福島県から受託
していた「東日本大震災・原子力災害伝承館」の設置準備にかかる資料収集業務が 3 年間の受託期間を満了したことにより、これに当たってきた地域復興支援部門の 5 名の特任教員および特任専門員が学内外に移籍することになりました。彼らによって収集整理された 20 万点あまりの資料は、同施設を設置する福島県および運営にあたる(公財)福島イノベーション・コースト構想推進機構に引き継がれ、同施設の中核をなす資料として、今後末永く展示・研究・教育に供されることになっています。
振り返れば、FURE は東日本大震災と東京電力(株)福島第一原子力発電所事故からの復興を支援することを目的として、2011 年 4 月 13 日に設立されました。当初は固まった組織があったわけではなく、走りながら組織がつくられ、2011 年度末には現在に続く組織の原型が形成されました。2013 年 8 月に
は FURE の活動拠点となる「FURE 棟」が竣工し、最大時には約 70 名の専任・兼任スタッフを擁する一大組織となりました。2012 年 6 月には川内村にサテライトを設置して現地での支援活動を強化し、2015年 8 月には楢葉町にサテライトの本所を移し、福島第一原発以南の地域での活動を強化しました。さらに、2017 年には南相馬サテライトに常駐の職員を置き、福島第一原発以北の地域での活動も強化しました。
現在の FURE は、専任・兼任スタッフの数は、一時に比べ大きく規模を縮小させています。しかし、FURE で支援活動に取り組んだ旧スタッフは、いまや北海道から九州の大学等に所属して全国で活躍しており、また、食農学類のように学内に移籍して支援や研究を強化・発展させている旧スタッフも少なくありません。ご承知の方も多いように、東日本大震災と原発事故からの福島県特に浜通りの市町村の復興はなお道半ばといえるものであり、また近年では 2016 年の熊本地震や 2019 年の台風 19 号など深刻な災害が頻発し、FURE で蓄積された実践知と支援知は、いまなおそして今後も福島県や各地で大きな役割を果たすものと確信しています。
もちろん、被災からの時間の経過に伴い、被災者の現状や要望は大きく変化していきます。支援をする側もそれに合わせて変わっていかなければなりません。うつくしまふくしま未来支援センターは、これからも力を尽くして支援活動を進めていきます。今後とも多くのご理解と協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
2020年 4月
プロフィール
- 職 名
- 行政政策学類教授
- 専門分野
- 考古学 博物館学
- 担当授業
- 考古学 博物館学概論 災害復興支援学 他
- 社会活動
- 日本学術会議連携会員 他