『2015年5月6日の火山性微動について』

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昨日(5/6)、吾妻山にて20152月以来3ヶ月ぶりとなる火山性微動が観測

されました。

様々な報道にもある通り、火山性微動は地下でマグマや火山ガスが移動す

ることなどによって発生するもので、火山噴火の兆候の1つとされるもので

す(ただし、火山性微動が観測されたからといって、すぐに噴火するとは限り

ませんし、噴火にいたらない場合もあります)。 

吾妻山では昨年(2014年)の12月以降火山性地震が多発し、半年近く経った

現在でも火山性地震が活発に発生しています(地震の回数は日によって増

減があるのですが、56日には100回を越える火山性地震が発生しました)。

前回の1977年の噴火の際は、火山性地震が活発化して半年以上が経ってか

ら噴火に至っています。 

2000年の有珠山噴火など、過去には火山噴火の直前予知に成功した事例

はあります。しかしながら、予知を比較的行いやすいのは有珠山のように噴

火前に明瞭な地殻変動(2000年噴火の直前には地割れなどが発生)が確認

されたり、有感地震が頻繁に発生したりする場合です。

 

吾妻山や箱根山で発生が想定されている水蒸気噴火の場合は、地下のマグ

マの移動が活発ではないために(=噴火しても規模が小さいことが多い)明

瞭な前兆現象が確認しにくく、直前予知は難しいとされています。なお、吾妻

山の火山性地震が半年近く続いた状態での火山性微動の発生は、今後も火

山活動が継続していくことを示唆しています。

 

したがいまして、福島市周辺にお住まいの方々は今後も気象台や自治体等

からの情報に注意されますよう、お願い申し上げます。

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                        福島大学うつくしまふくしま未来支援センター屋上から望遠レンズにて撮影(2015.05.08 9:00)

火山ガスによる磐梯吾妻スカイラインの規制​について

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2015年4月30日、吾妻山山頂近くの火山ガスの濃度が基準値を超えたため、磐梯吾妻スカイ
ラインが終日全面通行止めになりました。

火山ガスとは、地下のマグマに溶けている揮発性成分(水素や酸素等)が圧力低下などによ
って発泡し、気体となって地表に放出されるものです。主成分は水蒸気(90%以上)ですが、
毒性の強い二酸化硫黄や硫化水素なども一緒に含まれています。

4月の吾妻山の火山性地震の回数は1月ごろと比べるとだいぶ減少しており、火山性微動も検
出されておりません。「ここ数日、風が弱い状態が続いているため、ガスがたまりやすい状
況になっているのではないか」と、仙台管区気象台は見ているそうです(カギカッコ内は毎
日新聞記事より抜粋)。

とはいえ、これまで日本各地の火山で登山中や温泉に入浴中の方々などが火山ガスに巻き込
まれ命を落とす事故が多数発生しています。福島県においても1997年に安達太良山で
火山ガス(硫化水素)を吸った4名の登山者が亡くなる事故が発生しています。規制が
解除されるまでは規制区域には近づかないよう、お願い申し上げます。

吾妻山の火山活動③(火山性微動の発生について)

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本日(128日)午前815分ごろ、吾妻山にて昨年の1212日以来となる火山性微動が観測されました。気象庁の発表では、火口とその付近の噴気の状況、および地震活動には変化が見られないとのことです。

 

http://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/STOCK/volinfo/VK20150128100024_213.html

 

火山活動に伴う震動には、火山性地震と火山性微動の大きく2つがあります。火山性地震は火山活動に伴って地下で岩盤が動くことによって発生する地震を指します。火山性微動は地下でマグマや火山ガスが移動することなどによって発生すると考えられている数10秒から場合によっては数10分続く振動を指します。

 

http://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/STOCK/monthly_v-act_doc/sapporo/03m06/100_03m06memo.pdf

 

2014年の御嶽山の噴火では火山性微動が観測されてからわずか10分後に噴火しましたが、2000年の有珠山の噴火では噴火前に火山性地震は数多く発生したものの、火山性微動は観測されずに噴火に至りました。逆に、火山性微動が観測されながらも噴火に至らなかったケースも多く存在します。火山の噴火には様々なパターンがあり、火山性微動は噴火の兆候の一つの目安です。

 

確実に言えることは、火山性微動が観測されている時期の火山活動は非常に活発であるということで、現在の吾妻山はまさしくそのような状態であるということです。火山性地震が限りなく0に近い状態が数週間以上続いて火山活動が静穏化するまでは、「いつ噴火してもおかしくない」という認識を持って気を抜かずに生活を続けていく必要があります。



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吾妻山の火山活動について②

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「吾妻山が噴火したら、私の家は厚さmの泥流に埋もれるのですか?」

 

こういった問い合わせが、うつくしまふくしま未来センター員に寄せられています。この、「厚さmの泥流」とは福島市が作成した吾妻山火山防災マップにおいて、現在想定される最大級の噴火が起きた後に泥流が発生した場合に、福島市内で厚さm以上の泥流に襲われる可能性がある地域が存在するということを意味しています。

http://www.city.fukushima.fukushima.jp/uploaded/attachment/33390.pdf

 

では、この吾妻山火山防災マップにおける泥流の発生規模はどのようにして推定されているのでしょうか。まず、噴火の規模は記録が残る14世紀以降で最大級の噴火である1893年の噴火が想定されています。1893年の噴火では、噴煙が2000mまで上昇し福島市内などに泥雨を降らせました。また、火山灰は偏西風に乗って太平洋岸まで降り注ぎました。

 

吾妻山火山防災マップでは、この1893年規模の噴火が冬に発生した場合を想定して泥流の規模が想定されています。冬は吾妻山にたくさん雪が積もっているので、噴火口から排出される火山灰や熱された岩石などによって雪が溶けて泥流の規模が大きくなりやすいのです。

 

なお、1893年の噴火は初夏に発生しており、1893年の噴火で福島市が大規模な泥流に襲われたという記録は残っていません。つまり、吾妻山火山防災マップにおける泥流の規模(今後発生しうる最大規模を想定)は、これまで発生した噴火の最大級の規模と、噴火した際に泥流が発生しやすい冬の時期を組み合わせて推定されているものです(注1)。

 

注1・・・吾妻山火山防災マップは噴火が予想される火口を3箇所推定し、それぞれの噴火で発生する泥流を合成したものであるため、決してこれらの噴火が必ずしも同時に発生するというわけではありません。

 

 

吾妻山の火山活動について①

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2015114に急増した吾妻山の火山性地震は15日になって減少したとの報道が、福島民報社からなされました。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150116-00000017-fminpo-l07

 

昨年より活発な火山活動が続く吾妻山では201412月以降も火山性地震の増減が繰り返されていますが、そのようなことも火山噴火予知の難しさを物語っていると思われます。また、火山性地震の減少がただちに火山活動の収束に結びつくとは限りません。

 

 

 

 気象庁、火山の状況に関する解説情報の発表状況をもとに作成

 

図は気象庁の火山の状況に関する解説情報をもとに作成した、2014126日~2015115日までの吾妻山で発生した火山性地震の回数の推移です。全体的には活発な活動を継続しつつも増えたり減ったりを繰り返しておりますが、114日の193回が特に目を引きます。噴火の1つの目安を言われる火山性微動(火山の地下でマグマや火山ガスが移動する現象)は20141212日に観測されていますが、現在のところ噴火には至っておりません。ただし、繰り返しになりますが火山活動は依然活発で、気象台等から火山活動が終息したとの報道がなされるまでは噴火も想定しながら注意深く見守ってく必要があると言えます。

 

吾妻山が最後に噴火したのは1977年ですが、それ以降も吾妻山の火山活動が活発になったことが8回ほどあります(注1)。それらの際にも、マグマの地下からの上昇を示す山体膨張や、マグマや火山ガスが地下を移動することによって起こる火山性微動が、複数回にわたって検出されています。

http://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/sendai/213_Azumayama/213_history.html

 

従いまして、今回の吾妻山の火山活動でも報道されている山体の膨張や火山性微動が検出されても必ずしも直後に噴火に結びつくわけではないのですが、現在のように火山活動が活発な状況が続く限りは、『いつ噴火してもおかしくない』という認識を持ちつつ、火山活動が静穏化するまで注意深く見守っていく必要があると言えます。

 


注1・・・現在も吾妻山(一切経山)の山頂付近から噴気が上がっていますが、これは噴煙ではなく蒸気が噴出しているものであり、同様の現象は過去の火山活動活発期(例えば2010n年など)にも発生している現象です。